トンネル覆工コンクリートを対象とした打音評価手法

摘要

本研究において得られた主な成果について，以下に整理する。 1）打撃音の分析法としては，時間周波数解析のひとつであるウェーブレット変換が有効である。変換に使用するマザーウェーブレットにほGabor関数を用いた。 2）遮音フード付マイクを壁に押し付ける打音収録法がS/Nを向上させるために有効である。3）Φ25mmの鋼球をゴムで支持し，ゴムの収縮力で壁に衝突させる打撃装置を開発した。 検査の自動化を目指した電動式打撃装置も開発した。 4）縦波共振による卓越周波数に着目した巻厚の評価基準や，振幅や継続時問に着目した欠陥の評価フローをプログラム化し,自動かつ瞬時の現場評価を可能にした。5）トンネル断面全体を安全かつ効率的に打音検査することを目的として，ロボットアーム先端に打撃装置を装着した打音検査システムを試作し現地実験を行つた。 システムは，トンネル内の位置測定機能，架線等へのアームの衝突防止機能，壁面に対して打撃装置を直角に制御する機能，アーム先端を壁面の断面周方向に一定距離で移動させる機能等を有しており，一連の機横が設計どおり動作することを確認した。 6）実際のトンネル覆工での打音評価手法の検証を行い，評価が概ね正しいことを確認した。 今後の研究課題として，実覆工での実験を重ね評価精度の向上を図ること，空洞·割れ目だけではなくジャンカ等の欠陥を評価できるようにすること，打音装置の小型化し検査の簡便化および省力化を図ることを目指している。