理研と東大、電子相関と高移動度を併せ持つディラック半金属を発見、高移動度で新機能性を発現する物質開発に期待

摘要

理化学研究所と東京大学の研究グループは、電子間に働くクーロン相互作用（電子相関）が極めて強い場合でも、電子の移動度が極めて高いディラック半金属「イリジウム酸カルシウム」（CaIrO3カルシウム、イリジウム、酸素）を発見した。今回の研究により、電子相関が強いディラック電子がベロブスカイト型酸化物というよく知られた化合物群で実現できたことから、基礎研究や高移動度電子材料の研究開発が一層進展すると期待できるほか、電子相関によって高い移動度の電子を持ったディラック半金属が作り出せることは、エレクトロニクスを支える高移動度電子材料を探索するための新しい原理として有用である。CaIrO3は工業的に誘電体材料として広く普及しているベロブスカイト型酸化物のチタン酸バリウム（BaTiO3）と同じ化合物群に属しており、新物質だけでなく既存の物質、幅広い物質で高移動度電子材料の候補物質を見つけられる可能性があるとしている。