カートリッジ爆薬から現場鋭感化バルクエマルション爆薬への変遷経緯（抄訳）

摘要

ホルシム社はセメント，骨材，コンクリート業界のメジャーの一社である。当社は数年前，欧州の鉱山における生産安全性，環境基準，経済等への最大効果を目的とした"Quarry''というグループを立上げている。こあ"Quarry"の研究対象の一つに，切羽での発破による破砕がある。各鉱山で実施された様々な試みを踏まえ，穿孔·発破コストの指標を打ち出している。とりわけ，穿孔パターンの選択による孔径と火薬装薬量の関係により，大きなコスト差を生じることが明らかになった。これをベースに，ホルシム社とレーベン大学の採鉱及び石油工学部（オーストリア）は，カートリッジ爆薬（cartridged explosives）と現場鋭感化バルクエマルション爆薬（bulk site sensitized emulsion explosives）との比較実験を実施し，その移行に伴う有益性を評価した。試験研究として，2つの鉱山で約30回の発破を比較した。カートリッジ爆薬による発破の様子と使用されたパラメータを高精度モニタリングプログラムに集積し，現場鋭感化バルクエマルション爆薬による発破と比較するための基礎データとした。これに対する予備実験として，現場鋭感化バルクエマルション爆薬によるフルスケールテスト発破を2鉱山で計12回実施した。その結果，穿孔および発破のコストは，片方の鉱山で20％減，もう片方の鉱山で50％滅に成功した。このコスト差は，主に穿孔パターンの増加に伴う装薬量の増加によるものと考えられる。様々な穿孔パターンを試みた結果，ある切羽でデッキチャージの装薬方法で50％のコストカットが実現できたことからデッキチャージ装薬をとった。興味深いことに，2列発破に合せて，デッキチャージ発破にすることで発破振動も低減できた。