生体適合性高分子PLGAナノコンポジット粒子を応用したDDS技術とその展開

摘要

DDS（DrugDelivery System，薬物送達システム）の展開を目指して，粒子設計，粒子加工技術の応用に大きな期待が寄せられている。DDSという言葉がカバーする領域は極めて広いが，主に，①必要な薬物を，作用部位に直接送り届けるターゲッティング，②必要最少量の薬物を適当な速度で放出するコントロール·リリース（薬物放出制御），そして，③投与された薬物を安全，確実，かつ効果的に吸収させる吸収性改善の3つの要素が含まれている。 これらの要求に対して，粒子の大きさや表面特性を制御，改質することによって，生体の構造やアフィニティの特異性を利用して特定の部位に薬物を送達させたり，崩壊速度の制御された微小カプセルに薬物を封入してその放出性を制御したり，あるいは薬物やキャリアを極微細にして吸収されやすくするなど，粒子設計の観点より様々な検討がなされている。