企業におけるリスクマネジメントの実施例

摘要

企業経営者は，以前より意識の有無は別として何らかのリスクマネジメントを行ってきたといえる。 しかし近年，リスクマネジメントの取り組みを強化したり見直したりする企業が増えている。 この背景には，企業自体の経営における問題の露呈と共に，リスクの適切管理を求める社会的な潮流の双方があると考える。 前者においては，近年の数多く報道される企業不祥事などを見ると明らかである。 一方，後者としては，2006年に施行された会社法や2004年3月期より施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令（内閣府令第28号）」などの影響があると考える。 会社法においては，大企業は「損失の危険の管理に関する規程その他の体制（施行規則100条1項2号）」を備える必要がある。また，内閣府令第28号では，企業のリスク情報を適切に管理すると共に，必要に応じて有価証券報告等において開示することが義務付けられた。