水稲の耐冷性からみた2003年冷害と今後の耐冷性育種の展望

摘要

2003年の水稲作柄は、長く続いた冷夏の影響を受け、1993年以来の不作となりました。 青森県の作況指数は53と全国の都道府県の中で最低であり、その中でも冷害常襲地帯の下北，南部地域は14と著しく低くなりました。 青森県の主力品種の「ゆめあかり」（障害型耐冷性，強）、「つがるロマン」（同，やや強）は、1980年冷害時の主力品種「アキヒカリ」（同，やや弱）や1993年冷害時の主力品種「むつほまれ」（同，中）　 に比べ、障害型耐冷性が強化されています。 しかし、2003年の冷害では、耐冷性「強」の品種にも大きな被害が見られました。 ここでは藤坂稲作研究部の試験事例から品種の持つ耐冷性が冷害防止に有効であったかどうかを検証するとともに、藤坂稲作研究部で実施している高度耐冷性品種開発の現状について紹介します。