高精度GPS測位サービス'PAS'

摘要

GPS (Global Positioning System)は高い利便性を持つためカーナビゲーションなどで広く用いられているが，数mから数十mの測定誤差が発生する。 しかし近年，これらの誤差を精密に評価して補正を加える高精度GPS技術が発達し，cm級の測位精度が得られるようになり，RTK (Real-Time Kinematic)と呼ばれる方式を用いることで測量などに用いることができるようになってきた。 また，複数の電子基準点を利用したネットワーク型RTK-GPS方式が実用化され，広域を高精度で測位可能となり，基本的な社会インフラの一つとして重要な役割を果たすものと考えられる。 PAS (Positioning Augmentation Services)は，このネットワーク型RTK-GPS方式を採用し，国土地理院が日本全国に設置した電子基準点網を用いることで，これら電子基準点から得られるGPSの誤差補正情報をユーザーに配信し，cm級の測位精度を実現するものである。 本稿では，ネットワーク型RTK-GPS方式のうち，FKP（FlaechenKorrekturParameter：面補正パラメータ）方式の概念と特長を述べ，日本においてそのFKP方式で運用されているPASシステムの概要について述べる。 また，PASは，cm級を必要とする測量，土木，施工管理などだけでなく，数十cm級の測位精度も実現でき，PAS対応高精度GPS受信機"AQLOC"により移動体やパーソナルナビゲーションなどにも展開しており，動態管理や設備管理などにも用いられている。