車両推進システムの動向と展望

摘要

鉄道は，大量輸送が可能な交通機関として，都市間，都市内における人の移動手段という役割を果たしている。鉄道への市場の期待は大きく，従来から，速く，定刻に，安全に，安価に移動することが求められてきた。近年はさらに，より速く，より快適に，環境に優しくなどのニーズが出ており，これらのニーズに対応することが必要となっている。三菱電機では，これらニーズへの対応として，安全安定輸送の確保，環境への配慮，LCC (Life Cycle Cost)低減を基本コンセプトとし，様々なニーズを満足するために，各機器の技術開発や検証試験を徹底して行っている。安全安定輸送の確保は運行車両を常に確保することであり，信頼性向上，誘導障害の排除，機器の保守期間短縮，機器の安全性確保を目指した活動を行っている。環境への配慮には地球環境保護の観点と人への優しさの観点があり，機器の高効率化·リサイクル化（地球環境），低騒音化·EMI (Electro-Magnetic Interference)低減·保守の簡素化·容易化（人への優しさ）を徹底している。LCC低減は，ランニングコスト低減のための機器の高効率化，メンテナンスコスト低減のための保守の簡素化·容易化を行っている。 機器に適用される技術は市場ニーズを満足するように発展してきており（ニーズ·開発のループ），技術開発を一層加速化してタイムリーなシーズ提供により，更なる高度化と顧客満足を提供していく所存である。