インバータ技術と省エネルギー

摘要

石油枯渇に起因するエネルギー問題とCO{sub}2排出量増加に伴う地球温暖化問題の対策として，世界的な省エネルギー政策が推進されつつある。 特に，電力利用に関して比率の高いモータ駆動用途では，インバータ機器が中心的な役割を果たす機器の一つとして注目されている。 これは，インバータ機器が電圧や周波数を自在に変化できるため，例えばフアン·ポンプ用のモータを可変速駆動して高効率に最適な風量·流量を得ることができるからである。 この可変速機能すなわち負荷駆動効率の向上以外にも，モータ効率の向上，インバータ効率の向上，回生電力の利用において，多くのインバータ技術が省エネルギーに貢献している。 近年では，省エネルギーに加えて，電源高調波の低減，電磁波ノイズの低減など周辺機器に悪影響を与えない技術の開発も求められているが，一方，例えばIGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor)のスイッチング速度が速いほどスイッチング損失が低減しノイズが増加するように，両者は場合によっては相反する。改正省エネルギー法や，インバータ機器から発生する電磁波ノイズや電源高調波に対する各種の法規制·ガイドラインを共にクリアすることが求められるため，単なる損失削減のみではなく，システム的な観点から省エネルギーの研究開発を進める必要がある。 本稿では，これら省エネルギーに関係するインバータ技術について概観し，技術課題を説明するとともに，適用した成果と今後の動向について述べる。