電力·燃料·蒸気需給管理システム

摘要

2020年の発送電分離及び総括原価廃止に伴う競争激化に対応するため，電力事業者は事業プロセスの再評価，エネルギーポートフォリオ改善，アセット運用高度化による市場競争力強化に注目している。特に，取引契約の活性化や再生可能エネルギー導入による発電所の運用変化を見据えて，市場活用の拡大や，発電設備と燃料設備との一体運用による設備連用高度化が急務となっている。そこで，電力市場及び燃料市場の中長期的な予測に基づき，様々な制約条件を踏まえて，高い収益性と発電計画·燃料調達の整合性を確保した取引·運用計画を導出する電力·燃料·蒸気需給管理システムの開発を行っている。このシステムは，従来の電力需給管理システムと，“燃料設備の設備制約”，“蒸気供給に応じた熱効率特性変化”，“燃料·電力取引量の最適配分”，“燃料消費量の変化に応じた配船計画”を考慮した燃料需給管理システムを組み合わせ，繰り返し最適化演算を適用することで，電力と燃料が個別に実施するよりも多くの収益を得るための．計画を策定することを実現する。これによって，“設備運用コスト最小化”と“燃料·電力取引活用による利益最大化”，“ローリングによる燃料在庫の精緻化”，“燃料調達計画の調整力確保”を実現し，スポット市場活用による設備運用の経済性と柔軟性を両立させる。