次世代ネットワーク用波長多重システム

摘要

ITU-T (International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)勧告Y.2011，"General principles and general reference model for NGNs"は，NGN (Next Generation Network)のデータ転送を担うトランスポート階層で広帯域なトランスポート技術の活用を求めている。 波長多重（WDM: Wavelength Division Multiplexing)は，1990年代に実用化され，1本の光ファイバに複数の波長を多重することによって伝送コストを大幅に削減し，主に大都市の2地点間をポイント·ツー·ポイントで結ぶ技術として発展してきた。 その後コア／メトロネットワークのデータ転送の主役となり，NGNを下支えするインフラストラクチャ技術として更なる発展が期待されている。 NGNのトランスポート階層では，ポイント·ツー·ポイントのみならず，都市間をメッシュ状に結ぶことや都市内を複数のメトロリングネットワークで網羅することが必要となる。 そのためには，これまで以上に大容量かつ長距離伝送できるポイント·ツー·ポイントWDMシステムのほか，通信需要の変動に応じて任意のノード間に任意の容量の光パスを開通·解除する光ルーティングシステムが必要となる。 これら光ルーティングを担う技術として，光分岐挿入多重システムと光クロスコネクトシステムが期待されており，三菱電機ではNGN用に次の3種類の波長多重システムを開発した。 (1) 40Gbps信号の500km伝送を可能とするポイント·ツー·ポイントWDMシステム(MF-1600GW)；(2)光分岐挿入多重の次世代版として有望視されている再構築可能なROADM (Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)システム(MF-800GW)；(3)飛躍的に運用性を高めるだけでなくMulti-Protocol Label Switching (MPLS)ルータとの連携も可能とするGeneralized MPLS (GMPLS)に準拠する光クロスコネクトシステム(MF-128XC)。 これら3つのシステムを下図のとおりインテグレーションすることで，広帯域なトランスポート技術が実現可能となる。