エスカレーター乗降口転倒検知センサ

摘要

近年，エスカレーターなどの昇降機における利用者への安全性に対する要求が高まっている。こうした中，いくつかの行政機関では独自に昇降機の事故状況を調査·分析し公開している。それによるとエレベーターに対しエスカレーターの事故は約9倍の割合で発生し，発生件数は増加傾向にある。最大の事故原因は転倒·転落であり，全体の9割以上を占めている。また事故発生時，利用者の4割弱は体調不良又は酩酊（めいてい）状態であり，発生場所の約7割は乗降口と報告されている。意識が薄い利用者が転倒した場合，瞬時に起き上がれず大事故につながる危険性がある。このような状況を踏まえて利用者の更なる安全性向上を目指し，エスカレーター乗降口の転倒検知センサを開発した。これは，レーザ測距計を用いて乗降口の足元を走査し，利用者の転倒を即座に検知してアラームを発するものである。本稿では提案する転倒検知センサの構成及び特長を述べる。