超小型発信機の外科的装着が放流サイズの キジハタ人工種苗の生残， 成長および発信機保持tニ及ぼす影響

摘要

栽培漁業において，放流場所の選定は，種苗の放流後の 成長や生残に影響を及ぼす重要な要素の一つである。捕食 者が少ない，隠れ家がある，餌生物が豊富であるといった 好適な環境を有する成育場に放流できなければ，放流直 後の被食や飢餓などによる減耗により放流効果は低くなる(Yamashita and Yamada 1999)。人工種苗を成育に適した場所へ放流することで放流効果を向上させた事例は多い。例えばトラフグTakifugu rubripesでは，天然の稚魚の成育場 である河门域ゃ干潟域に放流する方が，再捕率や回収率が 高いことが報告されている（阿知波2004;松村2005)。また， ホシ力"レイVerasper variegatusでは,底質，水温，塩分およ び餌生物の密度といった条件が適した場所に放流すること によって，成長が速まり，回収率が向上した（和田2007)。 こうした適地の探索には，餌生物の分布や底質といった放 流海域の環境条件の把握のほか，放流後の種苗がどのよう に移動し，どのような場所を好hで利用するのか，また， 行動範囲はどれくらいかといつた行動生態に関する知見も 重要となる。