鹿児島県海域におけるマイワシ資源の状況

摘要

我が国周辺に分布するマイワシは，太平洋系群と対馬暖流 系群から構成されており，太平洋と東シナ海に囲まれる鹿 児島県では，太平洋系群とともに対馬暖流系群が重要な漁 獲対象となっている.成魚は鮮魚の他，加工原料，養殖用 の飼料としてまき網や棒受網等で漁獲されており，本県の 水産業に欠かすことのできない魚種である.対馬暖流系群本系群は，東シナ海から日本海にかけて広く分布しており，資源水準によって分布域が拡大、縮小する.1980年 代の資源高水準期では，日本海の沖合域まで分布が拡がつ ていたが，資源低水準期にあたる2000年以降は沿岸域に 限られている.成長速度については，資源水準が高いと成 長が悪く，低いと成長が良くなる.近年では満1年で体長 16 cm, 2年で18 cm, 3年で20 cm程度に達する.寿命は7歳 程度と推定されている.本系群の産卵期は冬季から春季で あり，主に沿岸域で産卵すると考えられる.成熟開始年齢 についても，資源水準によって変動し，資源高水準期では 主に満2歳魚以上で，資源減少期では満1歲魚で成熟する. 西海区水産研究所によると，本系群の2016年度の資源水 準及び動向は，2015年の親魚量（19.2万トン）と最近5年 間（2011~2015年）の資源量の推移から，中位水準で横 ばいと報告されている（安田ら，2016).