黒潮大蛇行と定置網などの漁況との関係(1)黒潮大蛇行と定置網で漁獲される主要魚種の漁況との関係

摘要

相模湾の定置網は回遊性浮魚類（サバ類，イワシ類，マァジ等）が主要漁獲魚種であり.全漁獲量の76%を上位6魚 種で構成する（1982-2017年平均）.このため主要漁獲魚 種の変動が定置網漁業全体に与える影響は非常に大きい. 回遊性浮魚類の相模湾への来遊量は，その魚種の資源量と 相模湾周辺域の海況に影響を受けると考えられる.2017 年8月から現在まで黒潮は大蛇行型となっており，1965年 以降，今回を含め過去6回大蛇行型は観測されている.黒 潮大蛇行が相模湾沿岸定置網の主要魚種の漁獲に及ぼす影 響について高村（2019)はマイワシ，カタクチイワシ，マ アジについて大蛇行型と非大蛇行型での漁獲多寡について 報告を行い，マイワシ，カタクチイワシは大蛇行型の際は 非大蛇行型と比較し漁獲が有意に少ないが，マアジは大蛇 行型、非大蛇行型で漁獲に有意差がないことを報告してい る.今回の報告では，既報の相模湾沿岸海域に加え，伊豆 東岸海域の漁獲についても分析し，より広域での黒潮大蛇 行の影響について取りまとめ.近年資源が高水準にもかか わらず漁獲が芳しくないプリについても分析を行った.