食品企業の社会的責任(23)－食品中小企業のための行動指針－環境会計(2)

摘要

本年の冬は地球温暖化の影響を受けてか、スキー場には雪がない。また、例年になく梅の開花が早いなど暖冬の様相を呈している。 そして人びとが交わすあいさつのことばの端々にも、天候、温度ほか地球環境にかかわる話題に時間をとられることが多くなってきたように思う。 また、好調な業種といわれている自動車産業、家電産業においても省エネルギー効果および特定化学物質（鉛）の全廃などサステナビリティ（持続可能な成長）がキーワードとなって、新製品の発表が相次いでなされている。 このことは従来の企業経営の重要要素であるQ（品質）C（コスト）D（納期）に新たにE（環境）およびS（安全性、食品の場合は＋健康）が加わったことを示唆している。そこで企業は、事業活動および製品、サービスを通じて環境に影響を与えている要因を、ステークホルダーに対して情報提供することが重要な役割となってきた。その情報提供の中で、環境保全に関する活動と企業の経済活動を結びつけるものが環境会計である。 持続的発展を期する企業は、自社の中長期計画に環境的側面での目標を明確にし、適切な資源の配分と実現のためのシステムを構築し運営していくことが重要になってきている。そして環境負荷に対する削減効果を社内外に示しながら継続的改善と、新たな投資による革新を図っていくことだ。このPDCAサイクルをうまく回していくことが、企業が受けるリターンの最大化の方策であり、同時にその製品を使用する顧客のライフサイクル価値のポイントである。 また、環境負荷の削減によって現代および将来の世代が受ける権利＝サステナビリティを保証することになる。