新たな施設カンキツ生産を支える技術－今後期待される品種を中心に－

摘要

現在、カンキツ類の施設生産は主力品種である温州ミカンの価格低迷や国際的な原油価格の高騰による経費の圧迫などから苦しい局面に立たされている。 そのような状況の下、各地では果実の高品質化、栽培品種の更新あるいは省エネルギー化などの対策が進められている。 そこで今回はカンキツ類の施設生産についてその概要と問題点について説明し、これからの施設生産の方向性について、今後期待される品種を含めて解説する。 図－1にカンキツ類の施設栽培面積の分布を示す。 カンキツ類における全国の施設栽培面積は温州ミカンが6割以上を占め、特に佐賀県、愛知県および大分県で100haを超えており、佐賀県では唐津市や東松浦郡、愛知県の蒲郡市、大分県の杵築市などで大規模な産地を形成している。 一方、温州ミカン以外の中晩生カンキツでは九州や四国地方で栽培面積が広く、特に熊本県、鹿児島県、宮崎県および佐賀県で100haを超えている。