森林生態系の炭素循環における有機物分解過程の定量化と機構の解明

摘要

森林生態系の炭素循環を定量的に評価するためには，枯死した植物体が分解される過程を定量化することが必要とされる。 分解過程の主なものとして分解呼吸があり，これは微生物などが土壌有機物や葉リター，枯れた樹木といった枯死有機物を分解する際に行う呼吸のことである。 土壌有機物や葉りターのように大きさが比較的小さい有機物の分解呼吸は土壌呼吸の測定の一部として評価されているが，枯れた樹木（枯死木）のように比較的大きな有機物からの分解呼吸はまだ十分に定量化されていない。 この研究では，分解呼吸，特に枯死木からの分解呼吸（枯死木呼吸）に着目し，その定量化と機構の解明を行うことを目的とした。 これまでの研究では，枯死木呼吸の測定手法の開発と呼吸の測定，呼吸量と環境要因とのモデル化を行った。