暑熱環境下におけるグルコースおよび多糖類分解性酵素の給与が肥育豚の発育成績， 飼料の消化率および酸化ストレスに及ぼす影響

摘要

地球温暖化が現在のスピードで進行したとき，2060年の7, 8月には，関東以西における肥育豚の 増体が現在と比較して15-30%低下すると予測さ れている（高田ら，2008)o夏季における増体量の低 下は，飼料摂取量が低下することによって生じる (Heitmanら，1958 ； Holmes, 1973 ； Nienaberら， 1987 ； Myer and Bucklin,2001；Collinら，2001)。 これは，暑熱による体温上昇が関与している。恒温 動物は，通常体熱が産生されるのとほぼ同じ速度で 放熱することによって，体熱平衡を維持する（山本. 1992)o暑熱環境下では体温が上昇するため，肥育 豚は呼吸による放熱によって体熱平衡を保とうとす る(Ingram and Legge, 1970 ； Quiniouら,2001； Patienceら，2005)。しかし，体内に蓄熱できる量 には限度があるため，暑熱環境下で放熱が不十分に なると体温が上昇し，体熱の産生を阻止しようとし て飼料摂取量が低下する（Kerrら，2003)。これら のことから，暑熱環境下では増体が遅延し生産性が 低下する。