リン結晶化法を用いた豚舎汚水からのリン回収の可能性

摘要

ふh尿分離型豚舎から排出される豚舎汚水の性状や汚水量等の調査を行い，ふh尿分離豚舎汚水からのリン回収の可能性を検討することとした。神奈川県内の13養豚 場及び当センタ一内のふh尿分離型豚舎から排出される豚舎汚水の性状を調査したとこ ろ，豚舎汚水中のリン，マグネシゥムの性状に対するpHの影響が明らかとなつた。一つ 目として，豚舎汚水中のpHと水溶性リン酸態リン濃度及びpHと水溶性マグネシゥム濃 度との間に負の相関が認められた。二つ目として豚舎汚水性状の年間調査から，pH,水溶 性リン酸態リン及び水溶性マグネシゥム濃度に季節変動が見られ，夏はpHが低く水溶性 成分の濃度が高まり，逆に冬はpHが上昇し水溶性成分の濃度が低下する傾向が見られ た。三つ目として水溶性及び結晶性リン酸態リンの構成割合は，夏に水溶性リン酸態リン が大部分を占めていたが，冬は結晶性リン酸態リンが大部分を占めていた。四つHとして 豚舎汚水中の水溶性リン酸態リンと水溶性マグネシウムのモル比は，冬は1以上であった が，夏に1を下回る傾向が見られた。また，ふh尿分離豚舎汚水からのリン回収試験実施 予定農場の汚水量を9月から翌年の5月まで調査したところ，気温の低下に合わせて9月 から1月まで汚水量が減少した。1月以降は気温が上昇しはじめ，汚水量も増加する傾向 が見られた。これらの結果から，ふh尿分離豚舎汚水は，水溶性リン酸態リン濃度が低濃度ではある 力;，水溶性リン酸態リンの結晶化によりリン回収が可能であると判断できた。その際，水 溶性マグネシウム/リン酸態リン比が1よりも小さい汚水の場合には，1に近づけるようマ グネシゥム源の供給が必要であることが明らかとなつた。