樹脂系被覆肥料による革新的な施肥技術の開発と今後の展望6.樹脂系被覆肥料に期待される新たな機能と 施肥技術への展望

摘要

被覆肥料はァメリ力で1960年ごろArcherDanielsMedlands社がフェノール系とアルキッド系樹脂を用いた 樹脂系被覆肥料が世界で最初に開発された（越野,1986). また，我が国においては，1970年代から研究開発が進み， 化成肥料については1975年，尿素については1980年に それぞれ被覆肥料の公定規格が設定された（越野.1986). 現在，我が国の被覆肥料の市場は，施肥の省力化ニーズな どにより順調に伸びており，2011年度には223億8,300 万円（矢野経済研究所，2013)に達している.使用作物と しては，世界的にはゴルフ場や緑化事業などの用途が過半 を占めるが（International Fertilizer, 2013),我が国で は水稲用が大半を占めていることに特徴がある.新しい施 肥技術の開発も様々な分野で進行し，これらの発展には， 高度な被覆肥料の溶出制御技術が貢献してきた.本報では，最近の被覆肥料の開発動向や，被覆肥料の溶 出制御機構をもとに，高い溶出コントロール性を具備した 肥料にも適用可能な溶出シミュレーション技術について触 れ，今後の被覆肥料の製品開発及び利用技術の方向性につ いて概括する.