魚骨粉資材を利用した土壌中重金属の不溶化と植物への吸収抑制効果

摘要

食品衛生法が改定され，コメ中力ドミゥム（Cd)濃 度の基準値が1.0mgkg—1未満から0.4mgkg1以下に設 定された（厚生労働省，2010).これに伴い，Cd汚染 指定地域の拡大が懸念されている.平成24年度末時点 において7050haが基準値以上検出地域として指定され た（環境省，2013).浅見（2010)によると，玄米にお ける改定後基準値の超過率は0.3 %とされている.また， FAO/WHOのコーデックス食品添加物、汚染物質部会 (CCFAC)において，当初提案された玄米中Cd濃度の 最大レベルは0.1mg kg—1以下であり，この場合，超過率 は16.3%にもなる.さらに，Cd吸収抑制のために湛水 管理が必要だと指導されている水田は全国で約4万haあ る（環境省，2010).この基準値は水稲および陸稲に限ら れたものであるが，今後，Cdに関する食品の基準値改定 の流れは畑作物へとさらに拡大することも懸念される.客 土法や植物浄化といつた対策ではコストや時間を要するた め，より安価で容易な重金属対策が求められている.Cdによる土壌汚染原因は様々であるが，その一つに亜 鉛（Zn)の精鍊過程での環境中への放出が挙げられる（浅 見，2010).さらに，Znは鉛(Pb)に伴って産出される 場合が多いことから，Cdによって汚染された土壌はZn やPbによって同時汚染されている場合が多い.そのため， 複数の重金属種に対応可能な対策も求められている.