施設有機栽培圃場における養分集積の実態と 有機質資材施用量の削減が土壌化学性に及ぼす影響

摘要

岡山県では1988年から全国に先駆けて有機無農薬栽培 に取り組hでおり，1989年には「岡山有機無農薬農産物」 の認証制度を県独自で導入した.さらに，2001年からは 有機JAS規格を基本とした「おかやま有機無農薬農産物」 の認定制度へと移行している.有機栽培では，特に土づくりが重要視され，堆肥等の有 機物の積極的な施用が行われてきた.また，堆肥や有機質 肥料のみから窒素養分を供給する必要があるので，有機物 の施用量が多くなりやすい.一方，家畜ふh堆肥の連用に より，土壌中に養分が蓄積しやすいことや養分状態がアン バランスになりやすI、ことが指摘されており（山田、鎌田， 1989 ；村上、畔柳，2009)，特に養分の溶脱が少ない施設 栽培ではその傾向が顕著である.有機栽培圃場の土壌化学 性については，近隣の慣行農法圃場に比べて全窒素，全炭 素が多く，陽イオン交換容量（CEC)が高かったこと（瀧、加籐，1998)や，有機栽培ハウスでECや交換性塩基類が 診断基準を超xて筒く，塩基バフンスが悪化していること (堀ら，2002)が報告さ^iており，養分が蓄積しやすいこ とが指摘されている.