クラゲ類の大量発生とそれらを巡る生態学、生化学、利用学: II. クラゲ類の生態学 -- II－1. クラゲの生活史

摘要

クラゲは10億年前に出現して以来，地球上に生存し続けており，淡水環境から海水環境，沿岸から外洋，表層から深海など地球上の水圏環境のあらゆるところに進出している。 その理由として一番大きなものはその生活史である。 クラゲの生活史には，浮遊生活して有性生殖を行うクラゲの世代と固着生活して無性生殖を行うポリプの世代がある。 クラゲは，この生活史を基本として，それぞれの種が生息する環境に適応した生活史を確立してきた（図1）。 クラゲ世代は組織分化が進み再生能力や環境適応能力がかぎられおり，生殖活動が終われば老衰し，食物連鎖網の中に組み込まれてゆく。 しかし，ポリブ世代は再生能力が非常に高く，環境適応能力も高い。また，無性生殖による増殖も限りが無く，ポリプはポリプを増殖し，そこからクラゲあるいはエフイラを無性的に形成し，クラゲあるいはエフイラ形成の後もポリプで居続ける。