水産動物における内分泌かく乱物質影響の実態把握

摘要

わが国において一頃，ヒトの健康や地球環境を脅かす極めでセンセーショナルな話題として，新聞，テレビなどのマスメディアで大きく取り上げられた内分泌かく乱物質，いわゆる「環境ホルモン」の問題も，ここ数年，やや沈静化した感がある。 しかし，現在もなお化学物質に起因するのではないかと疑われる生物界での異常現象や，内分泌かく乱物質濃度が高い特定の地域が存在することなどがフィールド調査で確認されているほか，数種の化学物質が内分泌かく乱作用による生殖異常を誘起することが実験的研究によって明らかにされつつある。 このように，依然として内分泌かく乱物質の影響によるリスクに対する懸念は完全に払拭されたとは言い難い。