トキの保護と野生復帰

摘要

著者は佐渡トキ保護センターに勤務して今年で4年目になる。本学在学中は獣医放射線学教室に在籍しており，てっきり小動物臨床に携わると思っていたのがいつのまにか佐渡が島でトキの仕事をするということになった。普通，動物園では飼育繁殖に関しては飼育員が担当し，獣医は動物の傷病時に出番があるといった感じだが，トキ保護センターではトキの診療，死亡個体の剖検はもちろh，飼育繁殖，マスコミ対応トキの保護に関するいわゆる啓蒙普及活動的なことまで幅広く仕事をしている。著者は鳥の臨床はもちろh，飼育繁殖に関してもまったく無知であった。なので，特別天然記念物であるトキの保護の仕事になぜ自分が選ばれたのか今でも不思議で仕方がない。この仕事が決まったとき，さすがに恐ろしくなって勉強に励む毎日が続いた。今，やっと少しは自信がついてきたかなという状態である。