一最近における小動物臨床情報（viI)— 犬の椎間板ヘルニアに対するレーザー治療の現況

摘要

犬の椎間板ヘルニアの発生頻度 は高く，われわれ小動物の臨床獣 医師は，ほぼ毎口のようにこの疾 患に遭遇する.椎間板ヘルニアは 軟骨異栄養犬種（ミニチュア、ダックスフント，ウエルシュコーギ ―，ビーグル，シーズなど）に発生が多いこと力知られており，日本国内ではこれらの犬 種が人気犬種であることから，近年その発生頻度は増加傾向にあると思われる.また，CT 、 MRI検査などの画像診断の発展により，診断される機会も増えてきたと考 えられる.Hansenらは，犬の椎間板ヘルニアを2タイプに分類 している.1型は椎間板の髄核が脱出したタイプで，2 型は繊維輪が突出するものである.この分類法から見る と，椎間板ヘルニアは一見単純な疾患のようにも思われ る.ところが臨床的には，椎間板ヘルニアの発生部位 (頸部，胸腰部，腰仙椎)，病変部の数（単発性，多発性)， 臨床経過（急性、慢性）などにより，さまざまな病態が 見られ，治療方針を定めるのは容易でない.