—日本で使用されている動物用ワクチン（XI)—豚用ワクチンの概説: 豚大腸菌性下痢症ワクチン（不活化ワクチン）及び クロス卜リジゥ厶、パーフリンゲンス感染症ワクチン (混合不活化ワクチン）

摘要

大腸菌にEscherichia coli)を原因菌とする豚大腸菌 性下痢症は，古くから世界中の豚生産国において普遍的 に発生しており，子豚の育成において非常に大きな経済 的損失を及ぼす疾病である.出生直後から離乳期までの 子豚に発生し，生後2週間以内の新生豚が罹患する新生 期下痢（早発性下痢）と，離乳後2週間以内の豚が罹患 する離乳後下痢（遅発性下痢）と力sある. このうち新生期下痢は，生後1-2日の同腹新生豚の 全頭が発病し，甚急性の経過をとつて脱水により衰弱 し，敗血症を併発して致死率が70-100 %に及ぶとい う特徴がある.原因となる大腸菌は毒素原性大腸菌 (Enterotoxigenic E. coli ： ETEC)であり，0群血清型 でいえば，近年では0149が最も多く分離され，そのほ かに08， 09， 020， 064, 0101， 0141， 0157等が 分離される[1-3].