水笙物におけるヒスタミン簋甲苺と ヒスタミン生成菌

摘要

日本では.古くカゝら重要なタンパク質源として水産物 が重宝されてきた.しかし，水産物は保存性が悪く，腐 敗の進行が早い.また，日本では水産物を生で喫食する 習慣があるため，過去には腸炎ビブリオなどに起因する 微生物性食中毒が多数発生していた.近年の食品加工技術や低温流通システムの発達は食品の消費期限や賞味期 限の延長に大きく貢献し，食品の安全性を担保する基盤 となっている.このような技術の発達と衛生的な取り扱 いの徹底により水産物の食中毒リスクは大きく低減して いる.厚生労働省の食中毒統計によれば，腸炎ビブリオによる年間食中毒患者数は12,000人程度（1998年）を ピークに直近の数年では50-250入程度まで減少した. カキによるノロウィルス食中毒はいまだ猛威を振るつて いるが，わが国における水産物の安全性は極めて高いと 言えるであろう.しかし近年，赤身魚のヒスタミン（Hm) による食中毒が注目されるようになり，集団食中毒事例 や企業の製品回収事例がたびたび報告されるようになつ てきた.Hmによる食中毒は昔から発生しているが，特 に2009年の学校給食で提供されたマグロフライを原因 とする患者数279名の大規模食中毒は大きな話題となつ た.本稿では，水産物のHm蓄積による食中毒とその原 因となるHm生成菌について概説する.