採卵廃鶏の有効利用：鶏筋渠タンパク質画分によるモデルソーセージの物性改善効果

摘要

採卵廃鶏の有効利用を削指し，豚水洗処理肉で調製した食肉製品の物性に及ぼす鶏筋柴タンパク質の効果について検討した．廃鶏より採取したムネ肉およびモモ肉から筋柴区分を抽出し，同区分を硫酸アンモニウム（硫安）で塩折処理し，分画された筋柴タンパク質を豚水洗処理肉に添加し，加熱処理後のモデルソーセージの物性を調べたところ，筋柴タンパク質画分の添加ば，破断応力を増大させた．とくに，75％飽和硫安上浦（f3）画分を添加した場合には，廃鶏の原料および部位に関係なく，全筋柴タンパク質を添加した場合よりも，破断応力が有意に高かった．SDS-PAGEおよび同デンシトメトリー解析により，ムネおよびモモ肉ともに，f3画分には，グリセルアルデヒドニリン酸デヒドロゲナーゼ（GAPDH）が共通成分として含まれていることが示された．ただし，f3画分のGAPDHの酵素活性並びに高速ゲルろ過の結果からは，GAPDHがソーセージの物性に対する直接的な関与は示されなかったが，木結果より採卵廃鶏が食肉製品のゲル化剤の原料になりうる可能性が示された．採卵廃鶏を提供していただきました，有限会社 奥村養鶏場 専務取締役 奥村俊一氏ならびに茨城県畜産センター養鶏研究宝前室長 生井和夫氏に心より御礼申し上げます．また，本研究は一部，財団法人旗影会研究助成によって行われたものである．