ヤマイモ（Dioscona opposita Thunb．）粘質物中の糖タンパク質の電気泳動的解析

摘要

「とろろ」の粘性が異なるツクネイモ，イチョウイモおよびナガイモより粘質物を抽出、分離し，その成分組成ならびにタンパク質性状ついて，各種電気泳動による検討を宥った。 ①粘質物毒は粘度の高い種類ほど多く，粘度の低いヤマイモは最も粘度の高いツクネイモの約25％であった。 粘質物の主体はタンパク質であったが，粘性の低いナガイモでは糖の比率が約40％と高かった。 ②Native－PAGE，SDS－PAGEおよび等電点電気泳動にてヤマイモ粘質物の構成成分であるタンパク質を分析したところ，主に分子量28kDa，pI5.0の糖タンパク質が数分子から十数分子会合して存在することを明らかにすると共に，各電気泳動のパターンにはヤマイモの種類によって若干の相異がみられ　 特にナガイモの泳動パターンはツクネイモ，イチョウイモと相違点が多かった。 本報文をまとめるにあたり，ご助言いただいた東京農業大学名誉教授谷村和八郎先生，ならびに電気泳動の解析に際しご指導下さった東京農業大学生物産業学部渡部俊弘助教授にお礼申し上げます。