生態系の新たな切り口としての安定同位体：安定同位体からみえる生態系のダイナミズム熱帯林の研究における安定同位体比の応用－タイ国サケラートにおけるケーススタディ

摘要

熱帯の土壌は，一般的にいうと有機物の堆寮が貧弱で有機物層はほとhどみられない．有機物の多くほ生きた植物体として存在する（例えばJORDAN 1985）．したがって温帯林との此餃で考えると，林床に落ちたリグーがどのような初期の動態を示すのかを研究することがより重要になる．そこで，リクー動態に大きく影響を与える大形土壌動物の役割が重要であると考えられる（LAVELLE et al．1997）．大形土壤動物といえは，ミミズとシロアリが卓越する存在であるが，熱帯林においてまずあげなければいけないのほシロアリである．シロアリほ熱帯域を中心に温帯域までに分布する社会性昆虫で，現在のところ全世界で2，600種奉りが記載されており（KAMBHASPATTI＆EGGLETON 1999），熱帯地方の森林や草原の物質循環上で，重要な役割を果たしている．たとえば熱帯草原（サバソナ）では，生産量．の半分以上がシロアリを経由して無機化されるという報告もある（WOOD ＆SANDS 1978）．