フォトバイオリアクターを用いた微細藻類の光合成生産

摘要

微細藻類の多彩な機能を利用することに注目が集まっている．微細藻類の機能が注目されるゆえhは，多様な価値ある物質を生産する能力をもっていることと，条件を整えることによって，高等植物よりも一桁高い光合成効率で，効率的な工業的生産が可能と考えられている点にある．微細藻類の培養では，炭素源としてCO_2や無機炭酸塩もしくは酢酸等の有機酸が必要である．近年，化石燃料の燃焼に伴い発生するCO_2や，メタン，亜酸化窒素などの温室効果ガスの濃度が大気中で増加を続けており，地球温暖化と気候変動がひき起こされることが危惧されている．化石燃料燃焼由来のCO_2を微細藻類の光合成によって有機資源化し，それを活用することで温暖化抑制に寄与し，また将来の産業振興や人口増加，食料問題解決への一助とすることが検討されている．ここでは，微細藻類の効率的な培養のためのフォトバイオリアクターに関して概説し，今後の研究の方向性について考察してみたい．