ヒノキカウモグリガ食害のスギクローン間における差違

摘要

ヒノキカワモグリガはその食害痕付近にシミをもたらす材質劣化害虫である。 その食痕跡として，樹幹表面に瘡や樹脂流出がもたらされ，地上高0～2mの樹幹における食痕数詞査ではスギ系統間に違いがあることがすでに報告されてきている（山崎，倉永，1988 他）。 しかしながら，食痕や材斑の垂直分布がスギ系艶枝下高および樹高により異なることが示唆され，地上高0～2mの樹幹部を観察することは，食害痕の少ない系統の検索には不十分であることも指摘されている（高官ら，1990；黒木ら，1990；片野田，谷口，1992；宮島ら；1992）。 すなわち，系統間差異を調べるた剛こは，樹体全体を観察できることが望ましい。 ところが，樹体全体を観察するには伐倒が必要とされ，現実的でなく，かつ，年次間の継続的な調査ができない。これらのことから，樹棒金体が観察できる採穂台木において食害を観察し，系統問差の検出を試みた。