濃厚飼料給与水準が放牧肥育豚の産肉性と放牧地の植生に及ぼす影響

摘要

草地の維持，修復方法の一つとして，ウシ，ウマ，ヒツジやヤギなどの放牧による植生管理が行われている（del Pozand Wright 1996; Loucougaray ら2004；Olff and Ritchie1998）。 この方法は，連続的な管理が低コストで行え，傾斜地でも適用可能であり，家畜からの収入も得られる等の利点を南する（Takahashi and Naito 2001）。 一方，家畜による草地管理に豚を利用する試みもなされている。 豚を野外で飼育することは，慣習的な舎飼方式と比較して家畜福祉，環境保全および施設コストの点で利点があるとされている（Malayer ら1987；Donham 1991; Honeyman 1996；Farm Animal Welfare Council 1996）。 また，放牧された豚は，放牧地の植物を採会したり，地面を掘り返す行動に活動時間の大半を費やすことが報告されている（Stoba and Wood-Gush 1989; Studnitz ら2003）。 このような性質を利用して，1980年代に日本において豚の放牧による強害雑草除去や荒廃畑地を耕起する技術の検討がなされ，エゾノギゾギシやアカザの除草や荒れ地の耕起が可能であることが報告されている（旗手ら1981；小林ら1982，1984）。