窒素施肥量がチモシ一(Phleum pretense の 飼料成分とサイレージ発酵に及ぼす影響

摘要

近年の粗飼料生産においては，安定多収のみならず粗飼料 として優れた牧草や発酵品質の優れたサイレージを生産する技術が求められている。チモシ一(Phkum pratense L"以下 TYと略記する）は北海道で最も多く栽培されている草種 で，サイレ一ジとして利用されることが多い。サイレージの 発酵品質を考える上で材料草中の可溶性炭水化物（以下 WSCと略記する）は重要な要素であり，WSC含量が高い材料草からは発酵品質の良好なサイレージが調製できることが報告されている（増子ら2009)。 TYのWSC含量は，地域や 収穫B寺刻（相馬ら2006),予乾処理（増子ら2008)などによつ て影響を受けることが明らかにされているが，施肥と飼料成 分あるいはWSC含量の関係:についての知見は少ない。ま た，ペレ二アルライグラスでは窒、素施肥量の増加による消化 率の低下や繊維含量の上昇，WSC含量の低下が報告されて いる（Keating O'Kiely 2000 ；岡元ら2007a)。そこで本報 では，窒素（以下Nと略記する）施肥量が刈取り回次別の TYの飼料成分，—糖含量およびサイレージの発酵品質に及ぼ す影響を検討した。