施設栽培土壌の理化学性と養液土耕栽培による施肥量低減の取り組み

摘要

高知県の施設栽培は、冬期の温暖、多照な気候を利用した野菜の早出し栽培を起源としており、平成15年のビニルハウス等の施設面積は1，630haとなっている。 近年、漸減傾向にあるとはいえ依然として、県農業の基幹部門である。 なかでも、施設野菜は、本県園芸農業の中心的存在であり、海岸線に沿う温暖部に産地が形成されて、ナス（冬春：368ha）、キュウリ（冬春：187ha）、ピーマン（冬春：88ha）などの果菜類が主として栽培されている。 施設果菜類では、栽培期間が8月から翌年6月以降までの11カ月に及ぶこともあり、施肥量が多くなりやすく、降雨にさらされる期間が少ないことなどから、作毎の施肥養分が土壌中に集積する傾向にあった。 さらに、近年は栽培期間の延長や長期展張フイルムの利用が進み、十分な除塩対策と土づくりがしづらい状況にある。 施肥量は徐々に減少傾向にあるものの、連作障害の回避、環境への影響の軽減や低コスト化を図るため、より一層の効率的施肥を推進する必要がある。