定点調査に見る農地土壌の化学性

摘要

土壌は土地利用型農業の基盤であり、一度劣化すると回復に困難と時間を要することから、良好な土壌の保全育成は古くから重視されてきた。 最近でも土地荒廃，土壌劣化といった言葉がテーマになった国際会議が開かれるなど関心が高い。 良好な土壌を維持していくためには、土壌の状況を正確に把握するための監視，観測が必要である。 土壌環境基礎調査の一部として行われてきた定点調査では、昭和54年から都道府県関係機関によって日本の農耕地約2万点について5年おきに同一地点の調査が行われた。調査項目は土壌断面形態から、一般理化学性、農業用水水質など多岐にわたっており、これらのデー夕は利用しやすい形のデータベースとして整備が進められている。 このデータを通じて近年の土壌の全国的な状態を知ることができるとともに、土壌図データやモデルな　 どと組み合わせることによって、土壌に関わる問題の解明に役立つだろう。 ここでは定点調査から見える農地の実態について紹介する。