21世紀の食糧問題と地域資源の戦略

摘要

世界の農林地では，水不足、砂漠化、土壌浸食など地域資源の劣化が進行しているため，人類が21世紀を生き延びていくには，地域資源の持続利用こそが緊急の課題である。 ここでは，世界の農林地の現状と将来像をレビューして地域資源の概念を明確にするとともに日本と海外の地域資源特性を比較した。 さらに，日本の地域資源の評価法や消費者ニーズを基に地域資源の戦略について考察した。その結果，地域資源的価値の高い農地では，休耕田を地力回復のための休閑田とする論作体系を確立して消費者の安全性志向を満たす農業を，一方，地域資源的価値の低い農地は，休閑地として地力の回復を図り，来るべき食糧危機に備える必要があるといえる。