頭首工災害研究におけるフィールドサイエンス的アプローチ

摘要

頭首工は河川を横断して設置される構造物であり，洪水によって災害を受ける。近代的な堰の本体は頑丈な鉄筋コンクリート造りになっているため，被災することは少なくなっているが，堰下流の護床工や堰の取付け護岸の被災は数多く見られ，堆砂や流木による取水機能の障害も発生している。 頭首工も，橋梁や道路，ダムなどと同様に建設される場所の地形や地質を考慮し，あるいは景観にも配慮してそれぞれ個別の構造物として計画設計される。 したがって，洪水による被災形態や原因も，その頭首工独特のものである場合も多く，現地での実態をそれぞれ詳細に検討する必要がある。 しかし一方で，設置される河川の洪水時の流れや，形成されている河床形態に共通性があり，堰も可動堰や固定堰，水叩き，護床工，堰柱，取付け護岸など共通した構造物をもっている。