コウノトリとの共生に向けた水田魚道の技術展開

摘要

兵庫県では，四半世紀にわたりコウノトリの人工増殖に取範hでおり，現在100羽を超えるコウノトリが飼育，保護されるまでに至っている。 このコウノトリを，兵庫県では自然との共生のシンボルと位置付け，コウノトリが棲めるような自然の再生を総合的に推進するために，「コウノトリ野生復帰推進計画」を策定した。 この計画では，「コウノトリと共生できる環境が人間にとっても安全で安心できる豊かな環境である」との認識に立っており，行政や地域住民が一り体となって，さまざまな環境整備に取蘭hでいる。 この取髄みの中でも，広大な圃場の整備を対象とする農業農村整備は，特に重要な役割を担っており，コウノトリの餌場としての水田の復活に大きく員献している。 本報では，ドジョウやタモロコなど水田とのかかわりが深い生き物の保護，増殖の観点から，現場で数年間にわたり検討と調査，改良を繰返しながら効果を上げてきた環境保全施設の一例として，水田魚道工の取観みについて述べることとする。