平衡水温モデルによる異常気象年の水田水温の推定

摘要

1993年の全国的な冷夏によって，九州地方の水稲の作況指数は平均で76と著しく低下した。 また1994年は逆に記録的な暑夏となり，水稲の作況指数は平年を大きく上回り114となった（農林水産省統計情報部編，1995、1996）。 このように，気温に代表される気象条件が水稲の生育と収量に大きな影響を与えることば従来から良く知られており（和田，1992），栽培期間中の気温経過の特徴が毎年発表されている。 水稲の生育や収量に直接大きな影響を及ぼす気象要素としては，気温のはかに水温と日射量が挙げられる（西山，1985）。 しかしながら，気温と日射量が全国多数の地点においてルーチン的に観測されているのに対し，水温のルーチン観測は行われておらず，稲作期間中の水田水温に関する情報は気温や日射量のそれと較べると極めて乏しい。 したがって，気温などの一般気象要素の観測値からその地域の水田水温を推定することができれば，水稲の作況解析を行う上で非常に有益である。