自治村落論の通史的検討—近代初期農民諸団体の範域と農本主義的社会的分業一

摘要

1)自治村落論の骨子と範域論争の始まり本稿の目的は，自治村落論者による「範域論争」の 意義を通史的に検討し，その成果と残された課題を明 らかにすることにある.具体的には.日本における村 落と複数の村落連合からなる地域社会の二重構造が. 開発から始まる分裂一統合の過程を繰り返しながら展開してきたことを明らかにすることで.自治村落は藩 政村か大字か農業集落かという自治村落論者による論 争の影響力の限界を見極め，自治村落論提唱者、齋藤 仁の問題意識の核心を発展的に継承するための道を再 び切り開くことである.