中国における農業振興策が小麦の生産性に及ぼす影響に関する分析

摘要

改革開放以降，中国の経済成長に伴い，農村と都市 間の所得格差が拡大した.同時に，人口増加によって 食料の消費量も増加する一方で，農産物の生産は不安定になった.そのため，2004年以降，中国政府は農業 政策の方針を搾取から保護へ転換し，農民所得補償， 価格支持といった農業振興策を実施してきた.その結 果，農業所得と農産物生産量は増加した（李、草莂， 2019).一方，農業従事者の高齢化，国際競争力の激ィ匕 など様々な問題が顕在化しており，総合的な農業生産 性（toted factor productivity ；以下，TFP)の向上は重要 な課題となっている.政策転換の重要性を踏まえて， 農業振興策が農業のTFPに与えた影響を明らかにする ことが必要であると考えられる.