水生生物の保護を目的とした新たな水質環境基準について

摘要

わが国では，1960年代以降に多発した公害問題を受け，人の健康保護を目的としてさまざまな環境政策が定められてきた。 その後，1993年に制定された環境基本法において，地球環境保全の視点が新たに加えられたことにより，環境政策が定められる際には，人への健康影響に加えて生態系の保全が重視されつつある。 このような動きに伴い，1999年度に環境省は水生生物の保護を目的とした水質環境基準の設定に着手した。 基準値は環境省の専門委員会において水生生物に対する毒性データを根拠として検討がなされ，2003年には亜鉛について新たな基準値が定められている。