作物の生育、品質推定と衛星リモートセンシング

摘要

1984年に打ち上げられたIANDSAT4号に搭載されたTM（Thematic Mapper）は，可視～中間赤外波長について30mの解像度で撮影できる性能を持つていた。 これにより農地の大規模化が進む北海道を中心に我が国でも土壌特性（土壌水分，腐食含量等）の把握，テンサイの糖分含量の推定，作付け図の作成などの圃場レベルのリモートセンシング研究が行われた。 しかし，LANDSATでは同じ地域の撮影周期が16日であり，雲があると地上が撮影できないことなどから，撮影時期が重要となる生育情報への利用は困難であつた。 現在，可視，近赤外の光学的センサを積hだ地球観測衛星としては，20m解像度のSPOT2号，4号や10m解像度のSPOT5号，4m解像度のIKONOS，2.4m解像度のQuickBird2号などがあり，複数の衛星の運用やセンサの撮影角を変えることで最短の撮影間隔が1日程度にまでなってきている。 この近年の衛星デー夕の空間的，時間的な解像度の向上によつて，衛星リモートセンシングの実利用の方向は，従来の土壌などの経年変化の少ない圃場環境情報の収集や作付け面積の推定などだけではなく，作物の生育や品質の推定が行われて生産に利用されるという，よりダイナミックな方向へも進hでざている。 ここでは，衛星リモートセンシングの生育解析への利用についての簡単な説明と衛星リモートセンシングの農業生産への利用の具体的研究事例を紹介する。