震災復興における農業共済制度の役割収入保険制度の導入でどう変わるか

摘要

農業は、自然に影響されることが大きい産業であり、風水害、冷害、地震等種々の災害によって甚大な被害を受けやすいという宿命を背負っている。このような観点から、公的保険制度としての農業災害補償(農業共済)制度が設けられており、加入農業者には災害時に共済金が支払われることとなっている。マイ力—所有者が事故に備えて民間保険会社の自動車保険を利用するのと同様、農業者も本業である農業のリスクに備えるためリスクフアイナンス手段を講じる必要があるが、現行では唯一農業共済制度がその役割を担っている。農業共済制度の特徴の一つとして法律にもとづいた公的保険であることが挙げられるが、これは対象とする災害が広範囲にわたるため民間保険会社の引受能力を超えているためである。もう一つの特徴として共済目的の被害をォ—ルリスク(事故原因を問わない)で補償することが挙げられる。自動車保険においては、特約を付けない限り地震被害は対象とならないが、農業共済制度では地震被害も当然対象となっている。大地震発生時には農作物等にも甚大な被害が発牛するが、農業共済制度加入農業者は被害について補償が得られるので、農業共済制度が震災復興に一定の役割を果たしていることは論を待たない。