ワールドリポート一世界の最新農産物事情米国ドル建ての価格シグナルは南米農家に大豆の増産を要請

摘要

米国農務省の9月度需給報告をきつかけに、シカゴの穀物市場は弱材料の出尽くし感から反転上昇に転じた。小麦は3年連続で過去最高を更新する大豊作が達成され、春作物でも順調に結実が進hでいることが確認された。年間を通じて供給が極大化する時期の安値を見定めて、現物調達や先物でのへッジ買いを目論hでいる世界の実需家に、絶好の買付機会を提供したといえる。この北半球の作柄報告と需給予測を心待ちにしていたのは、そうした当業者のみならず南米諸国の農家であった。9月後半になると、南米の農家は北半球の作柄を確認したうえで、今後はどの作物の供給が不足するのか、市場が何を最優先で求めるのかをよく吟味したうえで、早植え大豆やトウモ口コシの播種作業にとりかかるのが通常であるo米国農務省による世界の期末在庫予測を比較すると、トウモロコシは前年比752万トン(3.00%)の減少見込みに対して、大豆は625万トン(7-9%)の增加見通しになるので、市場に追加の供給が必要になるのはトウモロコシであり大豆ではない。ところが、南米産地ならではの条件が浮上して、教科書的な選択にはならない公算が高まった。その第一は、国際市場(港頭のFOB価格)では、ブラジルの主要輸出港であるパラナグア港での大豆は、トウモロコシの約2. 3倍で365ドルと示されている。一方トウモロコシ価格は1500ドルになるが、これでは一一期作トウモロコシの主産地であるマトグロッソからのトラック運賃(約1oo)は到底負担しきれない。