JA運動の進路と対応戦略をめぐる諸問題

摘要

農協運動が弱体化してしまった原因として、環境変化への対応の立ち遅れがあげられる。 問題が多岐にわたるいま、協同組合の本来の存立意義と存立条件に立ち返る時期ではないだろうか。 筆者は長年、農協の組織、事業、経営の実態と変化の様相を見続けてきたが、″いったい農協運動はどうなってしまうのか"と、研究対象について、今ほど深刻な思いに駆られることばかつてなかった。 協同結合は時代遅れの企業形態だとか、JAが農業の構造改革の足を引っ張っている、といった皮相な見方があることを承知しているし、協同組合陣営の一部に、残念ながらそういう見方を助長する隙を見せている面があることまで否定するつもりはないが、協同組合連動の変質や弱体化の進行をそのままにして、飢世紀の日本の経済社会の明るい展望は描きえないと筆者は考える。