「障害者総合支援法」下の障害者の就労と食農産業: 農を活かした障害者への仕事づくり

摘要

2013年4月から施行された「障害者総合支援法」は、2006年に施行された「障害者自立支援法」での基本枠組を継承し、障害者の地域生活と就労支援を促して自立を進めることが重視されている。障害の状況に合わせて、通常の事業所への雇用をめざす就労支援から、雇用が困難な者は就労を通じた知識や能力の向上をめざす就労支援まで、3区分に設定されている一近年の政策では、障害者の雇用の促進をめざした支援のあり方が重視されているが、一方で障害は個人により、精神面や知的能力、身体能力など多様な状況がある。雇用をめざすことを一義としない社会福祉法人やNPO法人等による就労支援と、農業生産法人や事業主が障害者の雇用に配慮した子会社を設立する特定子会社への雇用をめざした就労支援の両面をとらえたうえで、農業や食にまつわる産業において、障害者が彼らの能力や適性を伸ばせる仕事づくりのあり方を検討することはきわめて重要であると考える。以下では、社会福祉法人を母体とした障害者支援施設である清涼園(群馬県高崎巿)とこころみ学園(栃木県足利市)をとりあげる。